注文住宅の設計は家族構成の変更を念頭に置く

注文住宅を一つの芸術作品だと捉える人もいるかもしれませんが、そこで生活をすることを前提としている点は通常の住宅と変わりません。暮らしやすさを犠牲にしてでも芸術性を高めたいと考えたとしても、そこで人が暮らすことまで無視する人は少ないでしょう。人の生活の拠点になるということを考えるうえで大切になるのが、人数とライフスタイルです。支払いを行う人の意見が重視されるのは当然かもしれませんが、独りよがりになってしまったのでは家族の快適空間になることはありません。

たとえ夫婦二人で生活するための注文住宅であったとしても、我慢する側とさせる側に分かれてしまったのでは本当の成功とは呼べません。そこで暮らす人全員の意見や希望を考慮して設計することが大切です。同じ家で暮らす人の構成が変わらないという前提で考えるのは危険です。注文住宅は長く暮らすことを前提にしていることが多いので、家族構成の変更も念頭に置いて設計する必要があります。

人数が変わらなくても子供が大人になればライフスタイルが変わります。親から見れば子供はいつまでも子供と考えがちですが、それだと子供にとって暮らしやすい家にはなりません。子供が大人になって独立すれば人数が減ることになりますが、結婚しても同居すれば増えることになります。大人だけの家族になった後で、また子供のいる状態に戻ることになる場合もあるので、あらゆる変更を想定して設計すると多くの人にとって快適な家になります。